2004年10月02日

アイ・ロボット×ヴィレッジ

アイ,ロボット 特別編 ヴィレッジ
さて、今日からフジで24シーズンⅡが始まりましたね。まあ見事に最初の二時間位見忘れてたわけですが(泣)そんでもっていきなりメイソン支部長が…!いや、許すよ。私はあんたのすること全部許すから。

それはさて置き。行って参りました、I,ROBOT&VILLEGE二本立て強行の旅。学生さんにはお金が無いので、女性サービスの日や、映画の日を狙って行かなくてはなりません。というわけで無理やり行ってやりましたとも、ええ。

前半戦は「VILLEGE」。あたくしはシャラマン監督の映画はホラー要素がほとんど無いと思ってます。なので一人で見ても平気。最後のどんでん返しは、単に観客をびっくりさせるためというより、より物語を深くするためのものだと思われます。実際怖いとかぞっとする、というよりも何だかひどくもの哀しくなるようなラストが多い気が。この作品もそう。CMなんかで強調されるようないわゆる”ビクッ”とするようなシーンもあることはあるのですが、それは全く主体ではない。もっと根本的な切なさ、不安、悲しみを掻き立てるストーリーなのです。
ネタバレはあまりしたくないのですが、多分途中でいわゆる”恐怖”の正体は分かります。それは醜悪で、空しいもので、現実のものですらありませんでした。一瞬観客は「なーんだ」、と思うかもしれません。しかしそこからどんどんストーリーは思わぬ方向に転がり続けます。そして、それがついにぶつかった”モノ=真実”を見た時。人は息を飲み、その正体を見つめ、ただ立ちすくむことしかできないのです。ただただその悲壮な運命が心に圧し掛かってきて、私はラスト、呆然としてしまいました。
正直この作品の主人公たる「村」を囲む恐怖の正体には最初から見当がつくと思うし、ここら辺はあまり怖くないんです。いわゆる他のホラー映画に比べたら全然。しかし、「村」の存在自体に改めて目を向けたとき初めて、この作品の本当の意味が分かると思います。ある意味ハッピーエンドな終わり方にも思えるのですが、私にはとてもそうは見えませんでした。あまりにも残酷で哀れな「村」の歴史とその運命。それを考えるだに、なんとも複雑な心境になってしまうのでした。

ベストアクターはエイドリアン・ブロディ。あまり彼の出演作は見たこと無いんだけど、この作品ではほんっとに重要な役を果たしてます。そしてその重責に打ち勝ち、素晴らしい演技を披露してらっしゃって、もう彼を見ただけで、わざわざ見に行った価値があったなあ、と感激しました。ノア(ブロディの役名)のあまりの可愛らしさ、いじましさには、涙が出てくるほどで、彼の後ろには常にお花が舞っておりましたvホアキンと密着しすぎですから!(*´д`*)ハァハァ(ちなみに撮影の前に主要メンバーで、「村」での合宿を敢行したらしく、そこでブロディはホアキンのタバコを隠すなどのいたずらをよくしていたらしい)
あとウィリアム・ハートが言うと、嘘くさい台詞が本物っぽく聞こえること再確認。

不満点(ネタバレ含むので反転してください)

・ヒロインが可愛くない!(演技はまあまあ、かな)
・シガニー・ウィバーがすっごい浮いてる
・村の男共が情けなさ過ぎて腹立つ
・村の作られた理由が今一つ弱い
・モンスターが「ジェヴォーダンの獣」の獣を思い出させ、滑稽(いや、好きだけどね)
・ノアに全部押し付けるのはどうか。もうちょっとノアという子をたくさん描いて欲しかった

それから最近シャラマン監督は盗作で訴えられてるみたいです。ヴィレッジが、どこかの児童文学作品(こんな話子供に読ませていいのか(汗))に酷似しているのだそうで。そういえば「サイン」でも言われてたし、大丈夫なのかな。

では次に、「I、ROBOT」のレビュー。
この映画、実は立川CINEMA2、という新しい劇場で見たのですが、その設備がまたすんばらしいの。映画って環境が大事なんだなあ、と改めて認識。もうサウンドが響いて身体がぶるぶるする位。
で、肝心の映画の方はどうかというと。これがもう最高のでき。MY今年のBEST1映画です。実は予告とか宣伝なんかを見て、あまりにも単純な筋書きに見えたので敬遠してたんです。最近は近未来SFものが多い気がしていて、大抵のものは先が読めちゃうし、テーマも似たようなものなので、わざわざ映画館で見る価値のあるものはほとんど無いと思って。ところが、この作品、ありきたりなチープさの無いほぼ完璧とも言える映画に仕上がってました。哲学的とも言える深いストーリー、絶妙な伏線、魅力あるキャラクター造形、どれをとっても素晴らしい。何といっても、ラストの上手さが秀逸。驚きとともに、ああ、そうか、と妙に納得させられ、そしてジーンと心に響く終わり方でした。
この映画、2035年の設定で、いかにも「未来世界」という感じの背景なのですが、どこか懐かしさ、レトロな印象を受けます。「ブレードランナー」的な雑然とした雰囲気ではなく、「マイノリティー・リポート」の硬質な空気でもなく、微かに今の世界を残している感じ。実際何十年後かにはああなってるんだろうな、と納得できる世界観で、とても上手いと思いました。
また、物語が「未来世界」ということより、「人間とは何か」という点に重点を置いていることも一因かもしれません。ストーリーはオリジナルのようですが、完全にアシモフの世界観に則ってるなー、と。だから不思議と懐かしい、切ない気分になるのかしら。

主演のウィル・スミスはいつもの軽いタフガイ役とは一味違う、過去のある男、のイメージががすごく似合ってて意外。好感が持てます。原作ファンは不満ありかもしれないけど。
個人的に気に入ったのはジェームズ・クロムウェル。ベイヴ以外では悪役ばっかりだけど、この作品ではとても良い味出してて好きです。出演時間は短いけど非常に印象的でした。
出演陣が全体的に普段とは違う雰囲気を出していて、新鮮に感じました。
サニー役のアラン・テュディックも上手い。この人の愛嬌のある表情がとっても好きなので、サニーを演じているのを知って、なるほどと思いました。ロボットなのに何故か人間的な表情がにじみ出るサニーは彼の演技の賜物なのですね~。アンドリューやA.Iは、人間的な感情を出そうとして、逆に機械的な冷たさ、底の知れない不気味な雰囲気が漂っていたように思いますが、サニーは全く逆です。

ちなみにサニー、つまりNS-5の外部構造は人間に安心感を与えるため、透明になっています。こういった設計は、日本の研究室でデザインされたものをベースにしているそうです。良く考えると日本は二足歩行ロボの分野ではトップレベルですからね~。この作品の世界には一番近いかもしれません。

それはさて置き、サニーは良かったですね。ストイックなセクシーさ(?)があって。感情を持っているけれど決して人間ではない。ロボットでありながら三原則に縛られない。あの曖昧でありながらはっきりと線引きされている存在。完璧な強さと最高の知能を持ちながらも、人間を守るために奔走する彼の姿には心打たれるものがあります(NS-4もだけど(^_^;))自分の製作者のラニング博士を父と慕うサニー。ラスト近くで、博士の死の真相が明かされる辺りではもう涙で画面が見えない(泣)

<※ネタバレ注意>
そして、この映画の主題「ロボットに魂は宿るのか」という問題。これは近代SFでは何度も繰り返されてきた疑問ですね。ひいては、人間とは一体どういう存在なのか、という問題も同時に浮かび上がってくるわけで、とても重要かつ永遠に答えの無い問いかけのような気もします。サニーは最終的に感情を持ち、死を厭い、確率よりも賭けを選びました。既存のロボットではなくなったわけです。もともとラニング博士は新たなロボットとして彼を生み出したわけで、それも当然かもしれません。しかしサニーは本当にロボットではなくなったのでしょうか。感情の発露と見えたものも、全てが計算された行動かもしれません。やはり人工知能には魂は宿らないのか。それともサニーは人間ともロボットとも違う存在に生まれ変わったのか…。様々な憶測が飛び交うと思います。”ゴースト”。この言葉は「攻殻機動隊」で良く使われてますが、もちろんオリジナルではなく、何十年も昔からある概念です。ただ形として見えるものではなく、確かめようも無い存在なので、信じるか信じないかの二択しかないようなものです。感情、というものなら人間にも作られるかもしれませんが、魂、となると私にはとても生み出すことができるものではないと思います。それは人間だけに与えられたもの。しかし人間は、それを自らが作り出したものに与えたい、という願望を少なからず持っているのかもしれません。「何故人間はこうも理想型に近い‘人形‘を作りたがるのか」。それは神に近づくためなんでしょうか。

しかし人間はものを作り出せても、それを制御することが非常に苦手ですよね。結局自ら作り出したものに飲み込まれてしまう性質があるように思います。SF世界では良くこの辺りが警告として描かれることがありますが、今作も実に巧妙に現実世界への批判を織り込んでいます。まあ、あれですね、ロボット工学は未来世界におけるバベルの塔になるかもしれません。

気になったこと羅列

・三原則の第一条が簡単に破られてるなあ(しみじみ)
・ラスト後はどうなるのか。とても印象的なシーンだが、長じてマトリックスワールドにならないことを祈ります(^_^;)
・サニーとヴィッキーのやりとりが好き。一応ヴィッキーのことを女性として扱っているサニーに萌える。
・サニーの目の色が他のロボと違う。
・サニーは若い頃のクリストファー・ウォーケンに似てる。
・猫はどこに?
・ロボティックス社の会長が好き(何宣言)。ちなみに彼の「Sugar」ネタに「うほっ?」と思った人挙手(`・ω・´)ノ
・「ロボット違いだ」という台詞に、もしかしたらスーザン博士がロボット!?と思った人…いないか_| ̄|○
・ウィル・スミスの使っている古いCDプレーヤーは日本の製品(プチトリビア)
・パイが微妙に美味しくなさそう(笑)
・ウィルと途中で意味無く出てきた少年の関係が気になる。
・所長の銃ぶっ放しシーンがかっこよすぎると思った。
・とりあえずサニー(*´д`*)ハァハァ

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投稿者 yukiusa : 2004年10月02日 17:23 | トラックバック
コメント

2004/10/05 1:10 PM

TBありがとうございます!
NS-5のNSって日産の略なんでしょうかね~
結構日本びいきも見受けられるし、
車のデザインも日本人だとか・・・

Posted by: kossy at 2005年01月10日 14:57

トラックバックの重複、大変失礼いたしました。
今後ともよろしくお願い致します!

Posted by: INTRO編集部 at 2005年02月11日 20:29
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