ウィンブルドン
ラッセル・ブラッドン, 池 央耿
さて、ある一部の女子に絶大なる支持を受ける本書。表題の通り、テニスの世界大会ウィンブルドンの決勝を舞台に起こる事件が描かれてます。主人公は二人の天才テニスプレイヤー、オーストラリア人キングとロシア人のツァラプキン。この二人は親友でもあり、また保護者と被保護者的な関係でもある(キングは24、ツァラプキンは17歳)。育った国も環境も全く違う二人は何故か惹かれあい、離れられない仲になる。最初は言葉も全く通じなかったが、心とテニスを通じてお互いを知っていく。
最終的にこの二人がウィンブルドンの決勝で戦うことになるのですが、その試合には恐ろしい罠が仕掛けられていたのです…!圧倒的な臨場感と息詰まる迫力のテニス・サスペンス(解説より)ということです。
正直やおい目当てで読みました、ごめんなさい^^;
確かに噂に違わずすごいやおいでした。これは、作者公認ではないか?と思うほど主人公二人がらぶらぶらぶらぶr(以下略)してるんですよ。男女の関係より、男同士の濃密な空気(?)が行間から溢れてくる!(笑)
ま、もちろんそういうやおい的な雰囲気にも十分満足したのですが、それより、普通のサスペンスとしても超一級なんです、この作品。実は本の薄さと、絶版になっているという事実(1982年出版)から、あんまり面白くないのかしら、と思うところもあったんですけど、大間違いでした。近頃こんなに手に汗握る思いをして本を読んだのは久しぶりです。話の筋的にはよくあるものなので、ちょっと間違うと三流小説になりかねないのに、そこにテニスの緊迫感溢れる勝負を絡め、息を呑む迫力を最後まで持続したのは見事!これを読んだ後はテニスの大会が見たくなりますよん(でも今はケーブルでも放送してない。がっかり)今年読んだ本の中でも最高レベルです。
ちなみに、ポール・ベタニー主演の同名映画「Wimbledon」とは何の関係もないです。こっちも映画化したら面白いだろうに。