ひっさびさに紹介に値すると思った映画です。
不良学校に転任してきた教師によって子どもたちが目覚めていくという割とよくあるパターンな映画なのですが、そういう場合によくあるうそ臭さがない。いわゆる「金八」ものって、そんなわけあるかい!って思っちゃってあんまり感情移入できないんですが、この映画ってどことなくリアルで、かつファンタジックなんです。音楽教師として赴任してきたハゲのおっさんが金八の役どころなんですけど、彼は特に教師として優れているわけでも哲学的な思想を持っているわけでもない。ただただ音楽が好き。音楽を心の底から愛している。それだけなんですね。一度音楽家になる夢を諦めて、それでも楽譜は捨てられず、想いを隠して教師生活を続けていた彼が、不良学校の悪ガキどもに会ってその夢を思い出す。子どもは子どもで今まで厳しい学校生活の中で抑圧されていた子どもらしい素直な心を歌に乗せて解き放つ。そんな奇跡のような青春の一ページがテーマの映画でした。
おっさん先生はたとえば「いまを生きる」のロビン・ウィリアムスみたいに思索的な言葉は全然言わないの。ほんとに平々凡々な田舎のおっちゃん。そういうところが妙にリアルくさくて、ひどく泣けてしまった。自分が教育学を学んでいるからかもしれないんだけど、教育で本当に大切なのって子どもたちが自分に自信を持って羽ばたいていけるように、そっと寄り添って支えてあげることなのかもしれないと思った。それなら自分にできるかもしれない、とかね。前に立って生徒を教え導くだけじゃなくて、後ろからそっと背中を押してあげられる教師になりたいと思いました。
うん、まあとにかく劇場で号泣でしたが、近頃こんなに純粋に涙を流したことがなかったので、見て良かったです。ラストあっさり感も◎。