行って参りました、立川CINEMA CITY!
実は今日は「コラテラル」を見に行ったのですが、上映まで時間があったので、暇つぶしに「トリコロールに燃えて」を見てみました。結論から言うと、「コラテラル」の数倍面白くて、印象に残りました。見てよかったです。

元々、主人公の一人がスチュワート・タウンゼントだったことと、シャーリーズ・セロンとペネロペ・クルスの百合シーンがあるという噂に釣られて選んだ作品だったのです。まあ作品自体は大したこと無い、いわゆるメロドラマでしょ、と思ってたら、これが、まあ、すんごいの。恋愛ものなんて映画にするほどの価値も無い、と思ってる私が泣いたからね。ほんと、ラストが近づくにつれ、涙が止まらなくなってびっくりしました。

上映中ずっと思ってたのは、とにかく「愛が痛い」、と。もうこの一言に尽きます。皆それぞれ愛だけを求めているのに、それがすれ違って、歯車が狂ってしまって…そんな話でした。ここで描かれる愛、っていうのは男女の愛だけじゃなくて、多分大きな意味の愛、家族とか友人の愛も含んだ意味なんですけど。第二次戦争の始まり、激動の時代、極限状態の下、人々の中で「愛」が最も輝き、同時に試されることとなった時代のお話。もう本当に、愛、愛、愛！本当に愛の物語です。もうこれは見ていただくしか無いような気がします。私の言葉では伝え切れません。最初の、明るいパリの空の下、いちゃいちゃいちゃいちゃしてる二人のシーンには辟易しましたが（Ｈシーンとか、あんたらの私生活じゃないですか、と突っ込みたくなる）、後からだんだん、あのシーンも必要不可欠だったんだなあ、と改めて感心しました。スチュワートは誠実な正義感に溢れる役に挑戦していますが、いつもの耽美系の役よりも似合ってるかも。すごくすごく可愛くて良い子なんだけど、何故か常に不幸（笑）なオーラが出ていました。後半のイギリス紳士らしいスーツもびしっと決まってて素敵です。気が付くと、彼を見ながらずっとにやにや笑ってました（怖）。シャーリーズも、最初は役不足のような気がしていたのですが、だんだんと凄みを増してきて、最後はある意味ショッキングなほど素晴らしい演技でした。ペネロペはねえ、微妙に顔に傷があって、化粧っ気がなくて、という割りと素顔を晒したような感じで、これまたすっごく似合ってて良いです。好感度は大きくＵＰ！

更に、クレッチマンが演じるドイツ将校が涙を誘うのよ〜。なんかパリにポーッとなって、ついでにシャーリーズにもポーッとなってる田舎から都会に出てきました、みたいな素朴さが可愛い。そしてこの人も愛ゆえの悲しみを背負っています。彼は、いわゆる恋愛映画におけるライバル的存在のように変に悪者っぽく描かれていないんですよ。とにかく誰もがかわいそうでかわいそうで…でも最後には、やっぱり愛って全てを包み込むものなんだ、というテーマが圧倒的に迫ってきて落涙。誰も悪くない、ただ愛があった、みたいなコピーを付けたくなるような稀に見る”良作”でした。お時間あれば、是非是非見に行って頂きたいです。

ちなみに「コラテラル」ですが…
あんまり特筆すべきことも無いかな（汗）。ただ、トム･クルーズ演じる殺し屋がほんっとにハマり役だと思うし、かっこいいんだよ〜。トムは絶対悪役が似合う、と「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」を見たときから思っていたけど、その通りでした。ああいう甘い顔立ちは、悪いことをしてこそ引き立つのです。普通に正義の味方をやっちゃうと鼻につくのさ。今回は、殺し屋の酷薄さと、裏に秘めた人間的な表情がちらちら、と垣間見える演技に脱帽。この人やっぱ上手いわ、と思いました。特にタクシーの前を横切る狼（コヨーテ）をじっと見つめる表情が。何も語らないし、特に何かするわけじゃないけど、ヴィンセント、という一人の殺し屋の背景がぶわっ、と一気に迫ってきて、こっちもぶわっ、と涙が溢れてしまいました(´Д⊂ｸﾞｽﾝ
（ちなみにこのコヨーテのシーンは、監督いわく、「コヨーテを見ると、内省するような気分になるんだ。ヴィンセントもコヨーテを見て、自分を見つめ直していたんだ。」とのこと。自身の実体験に基づいてるらしい。）

設定も面白いし、音楽もかっこよくて、前半は快調に進みます。だけど後半･･･あれ？何か、尻すぼみなﾖｶｰﾝ…と思ってたら、やっぱりラストにがっくり。えええええ、何でだよ〜。
＜以下ネタバレしてます＞
いや、絶対トムは死んだ振りしてるだけで、いきなり二人を撃つ！で、静かに去っていくんだ、と期待してたんですが･･そんな冒険なオチがあるわけもなく。そこはレスタトオチ（※）だろ！？とマイケル・マンの肩を掴んでがくがく揺らしてやりたい気持ちになりました。やっぱりサスペンスものに恋愛が絡むと碌な事が無い＿|￣|○

※レスタトオチとは･･･？
主人公を差し置いて、残虐非道な振る舞いを行って無駄に目立ち、やっと殺されたと思ったら最後の最後に復活して美味しいところを持っていくという、観客を唖然とさせるキャラオチの総称。

ちなみに腐女子的にはヴィンセント（殺し屋）×マックス（タクシードライバー）がものすごい勢いで萌えられます。マックスが受け受けしすぎて…！ヴィンは冷酷な殺し屋なのに、マックスにだけは何故かラブ光線を送っているのよね〜。俺から離れるな！とか行くな！とか俺達は運命で結ばれている、とか変なことばっか言ってるからね(*´д｀*)ﾊｧﾊｧ

どうでもいいけど、最後の殺しの時にクラブで流れてた「♪ジュンビージュバーゴー」ってのは何なんだろう。サウンドトラックを聞きなおしても分からない…。