フロム・ダスク・ティル・ドーン

やばい。これはかなりやばい。マジで、ほんっとに、面白い。題名は、夕暮れから夜明けまで、という意味で、これが一体どういうことか、分かった方はすごい。ぶっちゃけB級映画なんですが、B級の面白さが存分に生かしきれている稀有な大傑作だと思いました。ジョージ・クルーニーとタランティーノという異色の組み合わせもなかなかオツです。タラちゃんは大暴れの変態野郎を見事に演じきっておりました。ジョージもかっこいいし、彼は悪役が似合うな〜。たまらん。彼の出演作の中では一番輝いているように見えるんだけど、もしかしたらこういうはちゃめちゃな映画が好きなのかも（笑）

前半からタラちゃん色ロードムービー風にぶっとばしてぶっとばして、後半は一転B級ホラー映画のノリ。ある一家を人質にとった凶悪強盗犯兄弟（ジョージ＆タラ）が、メキシコへ逃亡。逃がしてくれる案内人との待ち合わせ場所であるとあるバーで飲んでいると、いきなりバーのセクシーな姉ちゃんたちや従業員が吸血鬼に！というドタバタコメディー、ではなくドタバタバイオレンスアクションホラー、である。このバーの雰囲気がまた、禍々しくて、でもメキシコの陽気なリズムがあってて、いかにも、という感じ。期待を裏切りません。サルマ・ハエックが女王様みたいな役で登場。めっちゃくちゃセクシー。でも変身後は宇宙人でした（泣）そう、この映画では吸血鬼が美貌だの高貴だのという言葉とはかけ離れた存在で、ゾンビのような、Buffy the vampire slayerに出てきそうな凶悪面。人間を襲う時も、血を吸うなんて生易しいもんじゃなくて、身体引きちぎって食ってます。もう床にはKILL BILL並みに人の手足や生首がごろんごろん。でもなぜか笑えてしまう。やっぱりホラーは笑えるか、怖いかのどっちかじゃないといけません（どっちもありなら最高）バンドのネタとかもう馬鹿馬鹿しくて最高でした。それから、一緒に戦う仲間にトム・サヴィーニが出演しているのはもちろんファンサービスでしょう。セックスマシンて（笑）もー、とにかく一つ一つが面白くて笑えて、バイオレンスでセクシーで。これぞまさしくB級ファンが求める愛すべき作品なのではないでしょうか。

ちなみにこれはシリーズ化されて３まであります。実は深夜に３を放送していて、興味を引かれて、１を借りました。正直やっぱり１の方が断然面白い。３は”かの”有名な作家アンブロース・ビアスが語り部役なんですが、実際の話、彼はメキシコでの革命運動が盛んだった最中に突然姿を消していて、その行方は知れぬまま。この事件は数々の憶測を呼び、いまだに大いなる謎として残っています。で、３ではこのアンブロースが実はあのバーにたまたま迷い込んだ、という設定で、これはこれでまあまあな出来でした。腐女子的にはラストで生き残った奴らが何となくおいしかったわけなんですが。
１の監督は「エル・マリアッチ」のロバート・ロドリゲス。まじではっちゃけてます。大好き。で、おなじみメンバーのダニー・トレホが出ていたりします。若い（笑）！牧師役のハーヴェイ・カイテルも渋い演技をしてます。冒頭の売店のお兄ちゃん役で出ていたジョン・ホークスも素敵で、とりあえず出演陣全てがツボでした…。軽い話かと思いきや、信仰についてなど、割と鋭いテーマも内包しつつ、ラストまで爽快なまとまり感を持続したのはマジですごいと思いました。ラストでは、なんでメキシコなのか、という謎も解けます。この写し方も好きだな〜。お時間とお金に余裕がある時にはぜひ。