スターシップ・トゥルーパーズ

いやっほう！またまたすごいＢ級映画を見つけてしまいました！その名もスターシップトゥルーパーズ。結構その筋では有名な作品らしいのですが、私は友人から薦められるまで全然知りませんでした。しっかしＢ級大好き友達が推薦するだけあって、本当に面白かった！もちろんＢ級、という意味で、なんですけどね。

まあ一言にＢ級とは言っても、ＣＧ技術やスピード感などなかなか素晴らしく、以前ご紹介した「フロム・ダスク・ティル・ドーン」なんかのノリが好きな人は普通に楽しめると思います。タランティーノが絶賛してたらしい（この人の感性も微妙なところだが）。ただ、虫が嫌いな人は覚悟した方がいいですよ。とにかく虫の大群が出まくりですから。

で、話の展開的にも管理人はすごく気に入りました。何つーか、いわゆる正義の戦いとかそういうのじゃなくて、戦争に対するものすごい皮肉が利いてます。実はこれ、ロバート・Ａ・ハインラインの同名小説を映画化したもので、この原作が全体主義に対する賛美に彩られた、ファシズム小説とまで言われた作品らしいです（未読ですので間違っていたらごめんなさい）。映画の中でも、市民権だの一般市民だのという言葉が出てきて、やっぱりファシズムマンセーみたいな雰囲気は出てます。しかしこれ明らかに原作の雰囲気を逆手にとったアイロニーでしょ。主人公の親友カールが所属する軍情報部の制服なんかまるっきりナチだし。しかーし、そんなことは実はどうでもいい！とりあえずかっこいいから全部ＯＫ、ってのがこの映画見るときの基本姿勢だと思われます。いや、つまり、ヒューマニズムとか倫理観とか、そんなものどうでもいいんです、とにかく殺せ殺せ、殺しまくれーーー！ぎゃはははは！！っていう思いで見ると非常に楽しめる作品だと思います。とりあえず人間とバグが、ぐちゃどろになるまで殺しあう映画なんです…。

ま、監督がポール・バーホーベン、という時点で分かる人には分かると思いますが（笑）

前半はなぜか主人公の学生時代の話で、ビバヒルのノリ（主人公もこのドラマ出身らしい）。三角関係が出てきたり色々複雑です。ＳＦホラーのくせに。…まあ私は好きですけどね。しかし学校の授業の中にもきっちり虫の解剖シーンが入っていて、何故か必要以上に虫の内臓（なぜか虫に腸だの心臓だのがある）をぐちゃぐちゃ引っ掻き回す主人公、更にそれを見て耐えられずにげぼーっ、と豪快に吐くヒロインなど、これから起きるグログロシーンの片鱗を感じさせる一幕も（ちなみにヒロインはワイルド・シングスのデニス・リチャーズ。今回も腹に一物持ってそうな顔してます）。

もう一人、主人公の親友にカールっていうタラちゃんの若い頃みたいなちょっとしゃくれた青年がいます。彼はエスパーもどきのことができるらしく、それがまるですごい伏線のように描かれてますが、実はあんまり…（笑）。まあ、それは置いといて。カール、すっごい好みの可愛らしい子なんですけど、時々目が暗ーくなって、何か企んでいるような顔になるのが怖い（汗）。後に情報部に入ってバリバリナチズムを体現するような格好で出てくる彼、やってる実験とかもかなりエグくて、戦争下の科学者、という感じ。でもスターシップの世界の中では英雄なんですよね。そう、ここが重要なんですけど、現実世界にいたら引いちゃうようなキャラの言動も、この世界なら許せちゃう、そういうのが皮肉だなー、と思うんです。もう主人公なんか最初の甘ちゃんぶりもどこへやら、最後はばりばり軍人思考で、「皆殺しだ！」とか平気で言っちゃう男になってるし、親友二人（カールとヒロイン）との友情もうさんくさいことこの上ない。そういう描写はいかにもバーホーベンが遊んでるなー、という印象を受けました。途中に入る軍への勧誘ＣＭなんかもすんごい嘘くさくて、気持ち悪いくらいの爽やかさ。こういう毒々しいまでの茶化し具合、大好きです。特に最後のＣＭの入れ方、秀逸でした。

バグとの戦いは、とにかくバーホーベン節で、殺りまくり殺られまくり世界。多分人間がぶったぎられたり、脳みそ吸いだされたりするのが撮りたかったんだけなんだろうな、と思うほど輝いてます（笑）。あまりにも楽しそうに撮ってるので、グロシーンなはずなんだけど何故か笑っちゃうくらい。Ｂ級映画のお約束で、微妙な脇役は意味も無くぼんぼん死にます。あ、でも案外死ぬかもと思ってた人が最後まで生きてたりするのが意外で嬉しかったり。原作にはちゃんと「パワードスーツ」なる強化服があるのですが、どうやら監督的には「そんなもんがあったら人間の手足とか首がもげるシーンが見えねえだろ」ってことで却下だったらしいです。そのお言葉通り、戦術も何もあったもんじゃなく、無防備な歩兵が、しょぼいガンを手に突撃していく、という攻撃が繰り返されます。もちろん次から次へと虫の餌食となる兵士達。後に残されるのはまさしく”残骸”。もちろんきっちりその死体たちを映してくれてますよ、監督は。そんな悲惨な戦いの中で軍人として成長する主人公。あくまで軍人として、というところが味噌なのですが。「虫にも感情がある」とか「最初に侵略したのは人間」とかいう理論なんか無視です、無視。虫だけに…＿|￣|○

しかし最後に生き残った親友三人は本当に微妙な関係だなー、と思いました。最初主人公とヒロインが付き合ってて、配属部署が分かれ（主人公＝歩兵隊・下層階級、ヒロイン＝パイロット・エリート）、結局ヒロインが主人公を振っちゃうんです。で、実は主人公にはしつこいストーカー女がいて、何故かほだされて戦場でｾｸｰｽしてしまう。まあ、一応愛し合うようになったんですね。でもこの女がバグに殺される。んで、ヒロインの方もコンビを組んでるパイロットと良い感じになるんですが、こいつも最後の最後に殺される。しかも脳を吸われて…悲惨。結局最後は二人が生き残る、という複雑さ。んー、どうなるんだろ。私に分かるのは、こいつら親友三人組が将来軍部を支配するということだけです（笑）。主人公は歩兵部隊を取り仕切って英雄扱いだし、ヒロインは元々天才的なパイロット。カールに至ってはもう情報部率いちゃってるからね。ちなみに主人公とヒロインはそれぞれ直属の上司が都合良く死んで、その跡を継いでますから、野望達成まであと少しですね（怖）。

まあ本編レビューはこんなもんですか。とにかくすんごい爽快感と飽きさせない展開てんこ盛りですから、すっきりしたい秋の夜長には持ってこいの一品だと思いますよｖ

ちなみに軍人萌えの方にもお勧め。軍服と銃器のオンパレードです。お約束（？）の軍事訓練や、教官の言葉責め、公開鞭打ちなどがあるでよ(*´д｀*)ﾊｧﾊｧ　
ちなみに管理人はヴィム教官が非常にツボです。押し倒したいです。

追記：
現在「スターシップ・トゥルーパーズ 2」と「スターシップ・トゥルーパーズ・クロニクルズ」シリーズがＤＶＤになって発売中。レンタルも開始されました。もし時間があればそっちも見てみたいですね。

参考：
公式ＨＰはコチラ。Legend of SSTのコーナーでは押井守が腰が抜けたと語り、バンホーヘン自らこれは戦争映画だ！と言い切っている（笑）そして下記の解説が全てを物語る。

「だが、この≪戦争≫に何らかのヒューマニズムや教訓めいた感動を期待する者は、この映画の監督が誰かを忘れているに違いない。赤裸々なまでの暴力描写や性描写で常にセンセーショナルを巻き起こしてきたバーホーベンが描く究極の生存戦争は倫理の限界に挑戦した壮絶なバトル・シーンの連続である。」